カチャカチャと4人が歩くたびに黒い鎧が音をたてる。

――あの後、夜のうちに兄弟のもとを訪れようとした4人だが、帰るなりふらついたストークにボルグがストップをかけた。


「……いつから休息をとっていない。そんな状態では使い物にならん」


平気だと言い張るストークを切り捨てて寝かしつけた。

『夢』とやらを見ないように、眠りを深くする薬を飲んで、休む。

翌朝ストークは体力を取り戻し、率先して3人に出発を促した。

バカ弟子のから元気とボルグには分かっていたが、「大丈夫」と言い張る弟子に発言の責任を取らせることにする。

宿から20分ほど歩いただろうか、粗末な民家の並びに目的の家はあった。

軽くノックすると、中から返事があった。


『帰れ、…食い物でも持ってんなら別だけどな』


返事といっても、こんなものであったが。


「…携帯食でよければ手持ちがある」


ボルグが言うと、カチャリと鍵の外れる音がした。

取っ手を引くと、ギギィっとドアが軋み、薄暗い室内に光が差し込む。

ドアをくぐった者から家の主を確認し、しばし戸惑う。


「君が……オニキス?」


ストークの問いかけに、家の主が皮肉げに笑む。

目線が合ったのは、カロンだけだった。

小さい…幼い、少年。

歳のころは、8,9歳に見えた。

ミアに貰った資料にはオニキスは今年13歳、兄のジェイドは生きていれば今年24歳とあったが、目の前の少年は同年の子供よりも幼く見える。


「ハッ、どうした目を丸くしやがって。目当ての人物がこんなガキでびっくりしたのかい?」


少し大き目の白いハイネックシャツに、少し大き目のハーフパンツ、ベルトの穴は一番きついところで締められ、かなりの部分を垂れさがらせていた。


「君がオニキス?…気分を害してしまったなら失礼をした」


子供相手に生真面目にストークが言うと、少年が小さく笑い声をたてた。