「………愛想も無いわよ、付け足しといて」


呆れたカノーの声に、ミアが顔をあげる。


「ふふ、愛想の担当がいつもは居るのですけどね」


噂の皇太子さまのことだろうか、ミアはほんの僅か微笑んだ。

ある意味自分たち死神よりも、特異な人間ではないかとカノーは思う。

ミアは変わり者。それを嫁にもらうこの国の皇子も変わり者。間違いない。


(ただこの国の中枢にこの女がくい込むことは、決して民にとっては悪いことではない……)