「会いたいのに、もう会えない…話したいことたくさんあるのに…」
そして電話は切れた。
履歴を見ても、残っていない番号。
どうしてももう一度声が聞きたい。
僕は無意識に、駅に向かって走っていた。
駅に着いて、ホームに立ってみる。
到着した電車。
その中で、一際綺麗な笑顔を飾った彼女がいた。
彼女に触れようと足を踏み出そうとしても、足は固まって動かない。
泣いて、微笑みながら彼女は手を振った。
僕も無意識に手を振る。
彼女の口が象る、「ありがとう」。
そして彼女は、電車に乗って帰るべき場所へ帰っていった。