―コンコン



「伊藤です。秋羅先生いますか?」



「どうぞ。」



比奈は不安に思いながらも、ドアを開けた。



準備室の中は、6畳くらいの狭い部屋に、パソコンにむかっている、秋羅だけがいた。



「そこに座って。」



いつも生徒と仲良く話す秋羅先生とは違い、暗い雰囲気に比奈は怯えた。



「今日はすみませんでした。」



怒られる前に謝っておこう!比奈はまず謝った。



「何に対する謝罪?」



そんな比奈の安易な考えはおみ通しのように、秋羅は表情ひとつ変えずに淡々と言った。



「えっ!授業を聞いてなかったから・・・ですよね?」



比奈は秋羅の言ってる意味がわからなかった。そのために呼ばれたんじゃ・・?



「そうだね。あんなに夢中に考えている悩みでもあるの?」