「ハァ…お待たせ!」 息を切らせて、彼が戻った。 私の傘を持って。 「ありがとう、わざわざゴメンね。」 眉を下げ、小首を傾げて、そう口にすると。 「いいよ、…でも、ちょっと休憩。あっちの公園で休んでいい?時間、大丈夫?」 と、門限まで気にしてくれる。 彼は以前から、すごく気が回る人だ。 こういう、些細な気遣いは嬉しい。 こんな彼だからこそ、今まで、たいした喧嘩もせず、やってこれたのだろう。