「あ、ご主人様?ごちそうさまでした」
「いや、凛子に喜んでもらえて良かったよ。また、行こうな」
運転席からご主人様の手が伸びてきて、私の頭を優しく撫でた。
“トクン――”
胸が小さく跳ね上がる。
車内の温度は暑くもなく寒くもなくちょいどいい。
なのに私の体は熱を持ったかのように熱くなっていた。
「なーんか、いい天気だしさぁ……。このまま帰るの勿体なくね?」
「えっ?」
運転席のご主人様の横顔を見る。
「このまま、どっか行かない?」
「えっ?」
さっきから“えっ?”ばっかりで何を言っていいのかわからない。
「凛子、どっか行きたいとこある?」
「わ、私ですか!?」
「うん。凛子の行きたいとこに連れて行ってやるよ」
これはデートなの?
それとも、ただの暇つぶし?



