「凛子?」
さっきまでの優しい顔から真面目な顔になるご主人様。
「はい」
何を言われるんだろう……。
そう思うと、顔が強張っていくのがわかった。
「俺はキミの雇い主だ。凛子に何かあったら俺の責任でもある。でも、俺が凛子のプライベートまで監視する権利はないんだ……」
私はご主人様の話を黙って聞いていた。
「なぁ、凛子?」
「はい」
「さっきも言ったけど、俺は凛子のプライベートまで監視する権利はない。だから遊びに行くなとも言えない。だけど、これだけは約束して?」
約束?
どんな約束なんだろう……。
「これから遊びに行く時は、ちゃんと言って?じゃないと心配するから……」
そう言って、ご主人様は軟らかな笑顔を見せた。
「はい……」
私がそう返事をすると、ご主人様は「約束な」と言って、小指を出してきた。
細くて長い指を見て、胸がキュンとなる。
私は、ゆっくりとご主人様の小指に自分の小指を絡めた。
初めて触れるご主人様の手。
小指だけなのに、私の胸は今にもはち切れそうなくらいドキドキしていた。



