ご主人様の部屋の玄関前に立つ。
小さく深呼吸をして、鍵を鍵穴に差し込み、静かに回した。
"カチャ"
玄関の鍵が開く音がする。
ドアノブを持って、ゆっくり下げて、ドアを静かに開けた。
「おかえり……」
俯いてた私の頭の上に、ご主人様の声が聞こえた。
体が"ビクン"と小さく跳ねる。
恐る恐る顔を上げると……。
腕を組んで、玄関の壁にもたれ掛かってるご主人様が無表情で私を見ていた。
メガネの奥に見える目は怒ってるのか、どうなのかわからない……。
でもこんな時でも、グレーのVネックのカットソーに細身のジーンズを履いてるご主人様を見た私の胸はドキドキと煩いくらい鳴っていた。



