【先生×生徒シリーズ】運命のトライアングル




マンションの近くまで送ってもらうつもりが、マンションの前まで送ってもらった。


車のフロントガラスから上を見上げるようにマンションを見る先生は「すげー」を連発。


マンションの最上階の角部屋ということを教えると「はぁ……」と溜め息をついた。


それから「ご主人様は若いの?」とか「何してる人?」なんて聞いてきたから正直に答えたら「そんなん聞いてると、自分が情けなくなる」って何かわけのわかんないことを言って、先生は帰って行った。


自分から聞いてきたくせに。


マンションのエレベーターで最上階まで行き、ご主人様の部屋まで歩く。


昨日、先生の部屋に行く時も足が鉛のように重かったけど、今は違う意味で足が鉛のように重い。


ご主人様の部屋が近づいてくる。


今日は土曜日。


普通のサラリーマンなら休み。


だけど、ご主人様は開業医。


土曜日は仕事があるのかわからない。


別に悪いことをしたわけではない。


ご主人様と私は恋人同士じゃない。


なのに何で黙って家を出たことを少し後悔してるんだろう……。


どうして、ご主人様の部屋に近づくにつれて、胸の鼓動が早くなるんだろう……。