先生の車は住宅街を通り、その中で一際目立つレンガ造りで2階建てのオシャレな建物の裏にある駐車場に止まった。
その前に、お腹を空かせた先生にファミレスに付き合わされたとこ。
「先生?ここ、どこ?」
「俺んち」
上手にバック駐車してサイドブレーキをかけた先生はそう言って、ニヤリと笑った。
「えっ?せ、先生んち?えっ……」
ニヤリと笑った先生の顔が厭らしいし。
「お前、何慌てんの?」
私を見てクスクス笑う先生。
そりゃー慌てるって!
先生と言っても、その前に男。
先生が狼に変身するかもしれない。
「せ、先生?私、ファミレスとかファストフード店とかで時間を潰したいな……」
「はぁ?何言ってんだよ。俺はさぁ、仕事で疲れてんの。早く風呂に入って寝たいんだよ」
「そんなこと言ったって……」
「お前さぁ……帰りたくねぇんだろ?」
「そ、そうだけど……」
「じゃー、ごちゃごちゃ言ってねぇで付いて来い」
先生はそう言うと、車から降りてしまった。
なかなか車から降りない私に向かって、外からジェスチャーで早く降りろと促してる。
うぅ……ここは覚悟するしかないのか……。
私は渋々、車から降りた。



