「お~い!何で泣くんだよ」
先生が困ったように小さく溜め息を漏らして、私の頭を優しく撫でた。
「…………わかん……ない……」
頭を優しく撫でられたことなんてなかった。
それが嬉しかったのか……それとも余計に虚しかったのか……。
涙が止まらない。
鼻水をズルズル啜りながら泣く私を先生は何も言わずに優しく頭を撫で続ける。
「先生……ゴメン……ね……。迷惑だよね?ゴメン……」
私は頭を撫でる先生の手から体を離した。
そして、先生に背を向けて、先生から離れようと歩きだした時……。
「待てよ!」
と、先生に腕を掴まれた。
足が止まり、体がピクッと反応した。
「佐々木?ここで待ってろ」
「えっ?」
私は振り返り、先生を見た。
「逃げたら承知しねぇからな」
そう言って、笑った先生は私の腕を掴んでいた手を離して、教職員の駐車場へと歩いて行った。



