「佐々木?」
「えっ?」
後ろから声をかけられた。
この声は……。
振り向き、暗い中、声をかけてきた人物を確認する。
「先生……」
「佐々木、どしたぁ?」
先生はそう言って、私に近付いて来た。
これから帰るんだろうか、先生の手にはビジネスバッグが握られていた。
「ここに来たら先生に会えるかな……って……」
「さっき、仕事が終わったんだ」
私が来た時には、ちょうど仕事が終わって、電気を消したとこだったのかな……。
「お母さんのことで何かあったのか?」
俯いてる私の顔を覗く込むようにして、そう優しく聞いてくれる先生。
私は何も言わずに首を左右に振った。



