携帯の時計は22時少し前を表示していた。
私は自分が卒業した高校の校門の前に立っていた。
迷惑だと思われても、頼れるのは先生しかいなくて……。
もしかしたら……と、淡い期待を抱いて学校に来てみたけど……。
校門から見える職員室の窓は真っ暗。
学校中が闇に包まれていた。
やっぱりこんな時間にはいないか……。
先生に電話してみようか……。
手に持った携帯を開けたり閉めたりパタパタとする。
母親に捨てられた時には電話する勇気があったのに……。
今は、あの先生の顔が頭から離れず電話をするのを戸惑ってる自分がいた。
ネカフェで時間を潰そうかな……。
携帯を鞄にしまい、校門に背を向けた時――。



