玄関が開いて、ご主人様の姿が見えた。
「お帰りな…………あっ……」
玄関の扉が全て開いた時、ご主人様の隣……。
正確には、ご主人様の腕に絡まり寄り添うように立っていた女性の姿が目に入った。
「楓?この子、誰?」
モデルのような容姿の女性。
綺麗な人……。
「メイドさん」
「あぁ!この子が……」
ご主人様から私のことを聞いていたんだろう。
彼女はそう言って、私のことを下から上にジロッと見た。
「ただいま、凛子」
ご主人様はそう言って、笑顔を見せた。
「お、お帰りなさい……ませ……」
私は慌てて頭を下げた。
ご主人様の隣にいる人は彼女なんだ。
ご主人様には彼女がいたんだ。
接待っていうのも嘘で、デートだったんだ。
どうしてだろう……。
どうして胸が痛むの?
どうして胸が苦しいの?
私は、ただのメイドなのに……。



