「…………ブハッ!……アハハハ……」
突然、ご主人様が笑い出した。
「えっ?」
「ご、ご主人様って……アハハハ……」
「あの……何て呼べばいいのかわからなくて……。私はメイドとして雇われてるわけですし、だから考えた結果、ご主人様って呼ぶことに決めたんです……。でもずっと言い出す勇気がなくて……それで……」
そう説明しても笑いが止まらない様子のご主人様。
「凛子?」
「は、はいっ!」
「名前で呼んでくれたらいいよ」
やっと笑いが治まったみたい。
「それは失礼になるかと……。私はメイドですし……」
「それでもいいんだよ。名前で呼んでくれても」
「で、でも……やっぱり、ご主人様って呼んだ方が……」
「わかった。凛子の好きに呼んでくれていいよ。でも慣れるのに時間がかかりそうだな」
そう言った、ご主人様は思い出したようにクスクス笑ってる。
それからご主人様は再び玄関のドアノブに手をかけると、玄関を開けて仕事に行った。



