「さっきも言ったけど、別に言いたくなかったら言わなくていいよ。こっちも聞かない。ただ、ちょっと確認したいんだけど、俺は住み込みで働ける人を探してるわけで、キミは未成年だし……こういう仕事をするかもしれないって事を、ご両親は知ってるのかな?」
「あ、あの……」
俯いて彼の話しを聞いていた私は顔を上げた。
「ん?」
「あ、あの……私には……その……両親がいないんです……」
「えっ?いない?」
彼が目を見開いて私を見る。
「父親は何処の誰だかわかりません。生まれた時からいませんでした……。母親は……昨日までいました……」
「昨日まで?」
「卒業式の後に、捨てられたんです。実の母親に。お前なんかいらないって……」
もうダメかもしれない。
父親は何処の誰だかわからない。
母親には虐待されて育った。
そして、いらないとゴミのように捨てられた。
汚い家庭で育った私。
そんな私を雇ってくれるのだろうか……。



