もう、ご主人様のことは忘れよう……。
いや、忘れなきゃいけないんだ……。
いつまでも想ってたらダメなんだ。
「おーい!何、やってんだよ~!早くしろよ!置いてくぞ!」
先生が振り向き、まだ階段に座っている私に向かって叫んだ。
そして先生は、また歩きだした。
階段から立ち上がる。
「待って!」
私は先生の背中にそう叫んで、先生に向かって走った。
これから私の歩む道は、ご主人様とじゃなく先生となんだ。
これから先、ずっとずっと先生と一緒に歩んで行くんだ……。
先生に追いついた。
先生の隣に並ぶ。
私を見下ろし、優しい笑顔を見せる先生。
私も先生を見上げて、笑顔を見せた。
そして……。
私は、自分から先生の手に自分の手を絡めた。
先生の手から自分の手が離れないようにギュッと強く――……。
―End―



