「鼻水と涙で顔がグチャグチャだな。もう泣くなよ」
先生が指で頬に触れた。
“ビクン”と体が跳ねる。
親指で涙を拭ってくれた。
そして先生はコートのポケットからハンドタオルを出してきて、そのハンドタオルを私の鼻に当てる。
「ほら、チーンしてみ?」
チ、チーンって……。
「先生、子供じゃないんだから……」
「子供だろ?だって大声張り上げて泣くし」
「ブー!」
私はホッペをプーと膨らませた。
「そういうとこが子供なんだよ」
先生はそう言って、私の鼻から出た鼻水を拭き取って、ハンドタオルをコートのポケットにしまった。



