私も先生の後に付いて行く。
次は、さっきの大きな水槽と違って、壁に埋め込まれた小さな水槽が沢山ある。
腰を少し前に屈めて、水槽をジッと見てる先生が少し可愛く見えた。
でも何で、先生は私を水族館なんかに連れて来てくれたんだろう……。
ご主人様の家を出た私を元気づけるため?
先生は昨日、ご主人様とアヤさんに子供が出来て、結婚するって聞いた時に怒りで体が震えていて……。
その怒りをご主人様にぶつけた。
それは私の気持ちを思って怒ってくれたことだと思っていたけど……本当は……。
先生は、アヤさんのことが好きだったんじゃないのかな……。
ずっとアヤさんのことが忘れられなかったんじゃないのかな……。
水槽をジッと見つめる先生を見てそんなことを思ってしまった。
「ん?何?」
「えっ?な、何でもないよ?」
「変なヤツ。次、行くぞ」
先生はクスクス笑って、そう言うと、またさっさと次のゾーンへ行ってしまった。



