【先生×生徒シリーズ】運命のトライアングル




平日の水族館はガラガラ。


私たちの他に、小さい子と連れたママさんが何組かいるだけ。



「ガラガラだね」


「平日だからな。でも空いてるから良く見えていいじゃん」


「まぁ、そうだけど」



入口から入ってすぐの大きな水槽の真ん中に先生と並んで立つ。


水の中を気持ち良さそうに泳ぐ魚たち。



「寒くないのかな……」



そう心の中で呟いたつもりが……。



「はっ?」



先生が声を上げて私を見下ろす。



「えっ?」



それにビックリした私は先生を見上げた。


先生と私の視線がぶつかる。


“何言ってんの”って感じで私を見てる先生。


私……何か変なこと言った?



「お前さぁ……ここにいるのは魚だよ?」


「うん」


「生まれた時から水ん中にいるんだから寒いとか感じねぇと思うけど……。それに水の中って案外、暖かいんだよ」


「あっ!」



その時、心で呟いたつもりだったのに口に出して言ってたと気づいた。


恥ずかしくて顔が熱くなる。


何てバカなことを言っちゃったんだろう……って……。



「ガキみたいなバカなことを言うのって、お前らしいな」



先生はそう笑いながら言うと、次のゾーンに行ってしまった。