ご主人様が小指を離して、その手で私の手をギュッと握った。 そして……。 体をそのまま引っ張られて、ご主人様の胸に飛び込んだ。 私の体をギュッと強く抱きしめるご主人様。 「……ご主人、様?」 放心状態の私は、ご主人様に声をかけるだけが精一杯で……胸の鼓動が更に“ドキドキ”と早まる。 「凛子……」 耳元に、ご主人様の切ない声が響く。 それだけで意識を失い倒れてしまいそうだった。 「凛子……ありがとな……」 耳元でそう言ったご主人様。 私は何も言えず、首を左右に振ることしか出来なかった。