リビングのドアを開けると……。
焼きたてパンのいい匂いがする。
それに少し焦げ臭いような……。
リビングに入って、キッチンの方を見ると、シャツを腕まくりして、ネクタイを後ろに回した格好で料理をしてるご主人様がいた。
「あ、お、おはようございます……」
キッチンにいるご主人様に声をかけた。
「あ、おはよう」
昨日と打って変わって明るく挨拶するご主人様。
「朝ご飯、もうすぐ出来るから座って待ってて?」
「えっ?……あ、ゴメンなさい。私がやりますから、ご主人様は座ってて下さい」
慌ててキッチンに入る私。
でも、ご主人様は「凛子は座ってて?」と、私の背中を押してキッチンから追い出した。



