「ご主人様?」
「ん?」
「私、明日……ここを出て行きます……。今日いっぱいで辞めさせて下さい」
私はそう言って頭を下げた。
「えっ?」
ご主人様の驚く声が聞こえる。
私が頭を上げると、目を見開いて私を見てるご主人様がいた。
アヤさんも驚いた顔をしてる。
「ご主人様はアヤさんと結婚して新しい家庭を築くんですよ?だったら、もうメイドは必要ないでしょ?」
必死に明るくそう言った。
「凛子……」
「凛子さん……」
ご主人様もアヤさんも暗い顔をして私の名前を呟いた。
「そんな暗い顔、しないで下さい。だって当たり前のことでしょ?」
本当はね……胸が“ズキズキ”“チクチク”痛いの。
今にも泣いてしまいそうなくらい辛くて苦しいの。



