先生が帰った後、リビングにはご主人様と私とアヤさんだけが残った。
何を話せばいいのか……。
2人に、どう声をかけていいのか……。
「あ、私もそろそろ帰るね……」
沈黙を破ったのは、目を真っ赤に腫らしたアヤさんだった。
「送って行くよ」
そう言うご主人様に「1人で帰れるから大丈夫」と言うアヤさん。
「そうだ、凛子さん……」
「あ、はい」
「これ……ありがとう……」
アヤさんは鞄から出した何かをテーブルの上に置いた。
それは鍵だった。
「これはアヤさんが持ってて下さい。私には、もう必要ないので……」
そう言って、鍵をスッとアヤさんの方へやった。