「あ、あの……」
「佐々木凛子さん?」
「あ、はい……」
「どうぞ?」
彼は私が入りやすいように玄関を開けてくれた。
「失礼します……」
靴を脱ぎ、それを揃えて上がった。
彼の後ろを付いて歩く。
長い廊下。
廊下の壁に左右に2つずつ4つのドアがある。
リビングに入った時に、またビックリしてしまった。
私が昨日まで住んでいたアパートの部屋が、すっぽり3つは収まってしまうんじゃないかと思うくらい広い。
そして真正面の一面が窓になってて、その大きな窓から夜景が見える。
部屋の中もシンプル。
それに綺麗。
ホコリひとつ落ちてない感じ。
ホントにメイドが必要なの?
「どうぞ?ここに座って待ってて?」
「はい……」
私は指定された白い大きなソファーへ座る。
体が沈む。
座り心地がいい。
このソファーも高級品なんだろう……。
「お茶でいい?」
「はい」
彼は私の返事を聞くと、対面式のアイランドキッチンへと行った。



