リビングのテーブルに、紅茶とコーヒーとグレープフルーツジュースを置いた。
どこに座ろうか悩んだけど、先生の隣に座った。
お通夜かお葬式かってくらい黙ったままの私たち4人。
テーブルを見つめたまま何か考えてる様子のご主人様。
俯いているアヤさん。
先生の方を見ると、先生もテーブルを見つめたまま何か考えてるみたいだった。
こういう時にはどうしだらいいの?
何か話した方がいいのかな?
そう思った時……。
「佐々木がさぁ……」
先生が口を開いた。
先生は私のことを“佐々木”と、いつものように名字で言った。
「佐々木が、俺のとこに何回か来た時に、帰りたくないって泣いてたんだ……。佐々木はその理由は絶対に言わなかったけど……今、その理由がわかったような気がする……」
先生は、ご主人様とアヤさんを見た。
「お前たちの関係が、まだ続いてたとはな……」
先生は静かにそう言った。



