ご主人様の部屋に入るまで、誰も話そうとしなかった。
リビングに入った時、たった1日いなかっただけなのに何だか懐かしい感じがした。
「適当に座ってて?お茶いれるから」
ご主人様はそう言って、キッチンに行こうとする。
「私がするわ。だから楓は座ってて?」
こういう場合はメイドの私がした方がいいんじゃないかな?
「あ、私がしますからご主人様とアヤさんは座ってて下さい」
私はそう言って、キッチンに行った。
ご主人様とアヤさんは“そう?”って感じで、並んでソファーに座った。
その向かいのソファーに先生は何も言わずに座る。
私はキッチンでお茶の用意をする。
ご主人様と私は紅茶で、先生はコーヒー。
アヤさんは……。
昨日、紅茶を飲むと気分が悪そうだった。
妊娠したら酸っぱいものが食べたくなるって聞いたことがある。
確か冷蔵庫にグレープフルーツジュースがあったはず……。
備え付けのカップボードからティーカップとコーヒーカップとグラスを取り出した。



