軽く朝ご飯を食べてから先生にマンションまで送ってもらうために先生の部屋を出た。
今日は、ご主人様は仕事だからアヤさんはもう帰ってるかもしれない。
そう思うと、私の心は少し軽くなったような気がした。
でも夜にはご主人様は帰って来るわけで……少し軽くなった心は、またズシーンと重たくなった。
マンションの前に先生の車が止まった。
「ありがとう……」
「いや……」
私が車から降りようとして、ドアに手をかけて、もう1度、先生にお礼を言おうと振り返った。
でも先生は私と視線を合わすことなく遠くを、マンションの玄関の方を見つめていて……。
「…………アヤ」
そう先生は遠い目をしながらポツリと呟いた。



