「今日、1日だけでいいから……。明日には絶対に帰るから……だからお願い……」
縋るような目で先生を見る。
先生は一点を見つめたまま何も言ってくれない。
その時……。
♪~♪~♪~
鞄の中の携帯の着信を知らせる音楽が流れた。
先生も私もソファーに置かれた鞄に目をやる。
ご主人様からだ……。
「出なくていいのか?」
「うん、いい……」
私は電話に出ることを拒否した。
もしかしたらアヤさんに勝手に買い物袋と鍵を渡してしまったことを怒られるかもしれない。
ご主人様に怒られるのは構わない。
でも今、ご主人様の声を聞いてしまうと自分自身が崩れてしまいそうで怖かった。



