先生の唇が私の唇から首筋に下りてくる。
背中がゾクゾクとなって、私は目をギュッと閉じた。
アヤさんが言った“妊娠”の言葉が頭に浮かぶ。
でも、これで何もかも忘れられるんだ。
アヤさんが言ったことも、ご主人様のことも忘れられるんだ……。
さようなら……ご主人様……。
私は更に目をギュッと閉じた。
その時、先生の重みを感じていた体が急にフワッと軽くなった。
目をゆっくり開けると、やっぱり真上に天井が見えて……。
でも、さっきまで私を見下ろしていた先生の顔はなくて、私は顔だけ横に向けると、ベッドの縁に座ってる先生の背中が見えた。



