声を出さずに、泣きながら夜道を歩く。
今が夜で良かったと思った。
暗いから泣いてるのがバレないから。
友達がいない私。
なのにアヤさんには嘘を言ってしまった。
私が行くとこは、ひとつしかなくて……。
私は泣きながら先生んちのアパートの前に立っていた。
先生が帰って来てるのかどうなのかもわからない。
明かりがついてるのかついていないのかも確認しないで、先生の部屋の前に行った。
呼び鈴を押してみる。
“ピンポーン”と部屋の中に響くチャイムの音が聞こえる。
玄関のドアにそっと耳をつける。
部屋の中からは何も聞こえない。
いないのかな?
先生がいないってわかって、いつ帰って来るかなんてわかんないのに、私はその場から動けなくて、玄関にもたれ掛かるとズルズルとしゃがみ込んだ。
そして膝を抱えて、膝の上に顔をくっつけて目を閉じた。