「生理が来なくて、検査薬を使って陽性が出た時には、正直どうしようかと思った。まさか1回で妊娠するなんて思ってなかったし……堕ろすことも考えた。でもね、出来なかった……。まだ確定したわけじゃないけど、この中で小さな命が生きてる。愛する人の子供がいるって思った時に、産もうって……絶対に産みたいって、そう思ったの……」
アヤさんはそう言うと、泣きながらだけど幸せそうな笑みを浮かべて、お腹に手を添えた。
「ご主人様には……」
「言わないつもり。だって楓と約束したから……。もう楓のとこにも行かない。楓のことは忘れるって……。だからこの子は私1人で育てることに決めたの。仕事をしてた時の貯金もあるし、子供が生まれたら働く予定にしてる」
意外だった……。
アヤさんは、ちゃんと仕事をしてたんだ。
お嬢様で親の金で遊びまくってると思ってた。



