「私ね……私ね……妊娠、してるの……」
そう言ったアヤさんの目から再び大粒の涙がこぼれ落ちた。
「えっ?」
妊娠?
アヤさんが妊娠?
「楓の子なの……」
「はっ?」
自分ではわからないけど、今の私は鳩が豆鉄砲を喰らった顔をしてるに違いない。
ご主人様の子供……。
アヤさんのお腹の中にはご主人様の子供がいるんだ……。
何?この衝撃的な告白は……。
目の前が真っ白になるって経験を初めてした。
あっ……だから……。
アヤさんがハンドタオルで口元を押さえてたのは気持ち悪かったからで、それは悪阻だったんだ。



