「買い物?」
アヤさんは私の手に握られた買い物に目線を移してそう言った。
「あ、はい……」
私も買い物袋に目線を落とす。
「凛子さん?」
「はい」
アヤさんと目が合う。
「時間、ある?」
「時間、ですか?」
「えぇ。お茶でも飲まない?」
「えっ?」
アヤさんの突然の誘いに、目を見開いたまま固まってしまった。
「ダメ、かな?」
私を上目遣いで見るように、申し訳なさそうにアヤさんはそう言った。
「……いえ」
断ればいいのに、私はお茶することに同意してしまった。
「ホント!?良かった。じゃーそこのカフェに行きましょうか?」
笑顔でそう言うアヤさんに何も言わず、ただ“コクン”と頷いた。
買い物袋を持った私は、アヤさんの後ろを付いて歩き、買い物袋なんか持ってる人なんかいないオシャレなカフェに入った。