先生が運転する車は、マンションを出て繁華街を通り、先生のアパートとは反対方向に走っていた。
先生のアパートに行くと思ってたのに……どこ行くんだろう……。
「先生?どこ行くの?」
「さぁ?どこ行こうか?」
そう逆に聞かれた。
しかも笑顔で。
「私が聞いてるの!」
「別に当てなんてねぇよ。佐々木はどっか行きたいとこある?」
「えっ?私?」
行きたいとこ……。
この時間に行きたいとこを聞かれても……。
「早く言え」
「えー!そんなこと言われても……」
うーんっと……じゃー……。
「海で……」
「そう言うと思った。女って海が好きだよな~」
先生はクスクス笑いながら私をチラッと見た。
じゃー聞かないでよ。
それに女が海好きだっていうのは、先生が勝手にそう思い込んでるだけじゃん。



