「冗談だろ?」
「冗談じゃないよ……私は本気だよ……」
「そんなこと出来るわけないだろ?」
「楓……お願い……。楓の温もりを私の体に刻んで?そしたら楓のこと忘れるから……」
どうすればいいんだ……。
俺の頭に凛子の笑顔が浮かんだ。
ダメだ……だって俺は凛子が……。
でも……アヤを抱けば、アヤは俺のことを忘れるって……。
凛子の笑顔の後に、あの頃の……俺と京介とアヤと仲良かった頃が頭に浮かんで……。
アヤの傍にいるだけで“ドキドキ”してたあの頃……。
アヤのことが好きで好きでしょうがなかったあの頃……。
揺れる心。
凛子……アヤ……凛子……アヤ……。
頭の中がモヤモヤして、気付くと俺はアヤを抱きしめキスしていた。
理性を抑えきれなかった汚い男の部分が出てきてしまったんだ……。
―楓Side end―



