「わかってる……わかってるけど……私はやっぱり楓が好きなの……」
目を真っ赤に腫らして泣いてるアヤ。
もし……あの頃だったら……。
アヤのことを本気で好きだった、あの頃なら……俺はアヤの気持ちを受け入れてたのかもしれない……。
京介に嫉妬させるために彼氏役になった時のように――……。
でも今は……俺は……。
「アヤ?俺を困らせないでくれ……」
「あの子が好きだから?」
「えっ?」
「メイドさん……凛子さんが好きだから?だから私の気持ちには応えられないの?」
「そうだ……って、言ったら?」
俺はアヤの目を見てそう言った。
アヤの目から大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちていく。
何も言って来ないアヤ。
見開いた目から、ただ涙がポロポロ落ちていくだけだった……。



