♪~♪~♪~
携帯を切った後、すぐに携帯の着信を知らせる音楽が鳴った。
ディスプレイには“先生”の文字。
どうしよう……。
こっちから電話して、先生が出る前に電話を切っちゃったから、それで先生は電話してきたんだ。
無視することは出来ない。
私は通話ボタンを押して、携帯を耳に当てた。
「も、もしもし……」
『佐々木?さっき電話くれただろ?』
「……うん」
『出ようと思ったら切れたから……何か用だったのか?』
「…………」
私は何て答えていいのかわからなかった。
だから黙ってると……。
『佐々木、今どこにいる?』
「えっ?」
『楓の部屋じゃないだろ?』
「えっ?」
何でわかったの?
『佐々木、どこにいるんだ?』
先生が再び、そう聞いてきた。
「……マンションの……外に……」
『わかった。すぐ行くから待っとけよ』
先生はそう言って電話を切った。
私は小さく溜め息をつき、先生との会話が切れた携帯を閉じた。
そして携帯の電源を切って鞄にしまった。



