唇をギュッと噛み締め、膝の上に置いた手をギュッと握る。
「どうぞ?」
ご主人様がソファーに座るように促した。
私の向かいに座る母親はソファーに座ってもキョロキョロとリビングの中を見渡していた。
その時、ふと頭の中で再びあの疑問が過ぎった。
彼女は一体、どうやってここを知ったのだろうか……。
探偵でも雇って調べたんだろうか?
でもそんなお金なんかないはず……。
ご主人様が私の隣に座った。
「あの、失礼ですが、ここはどうやってお知りになりました?」
ご主人様も私と同じことを思ってたんだ。
名刺も渡してない、ここの住所も教えたわけではない。
誰だって、教えてもない場所に来れた事を疑問に思うだろう……。



