「わかってる……」
「えっ?」
俯いてた顔を上げて、ご主人様を見た。
「凛子のお母さんが何か企んでることくらいわかってるよ」
ご主人様はそう言って、笑顔を見せた。
「ご主人様……」
「だから凛子は何も心配しなくていいし、それから……俺は凛子を辞めさせないから……。凛子がいてくれないと困るんだ」
ご主人様は再び優しい笑顔を見せてくれた。
私がいないと困る……。
それは仕事のことだってわかってるのに、なのに私の胸はドキドキと張り裂けそうになっていた。
「もう気にするな。なっ?」
ご主人様は私の頭を優しく撫でてきた。
私はコクンと頷く。
「よし、いい子だ。さっ!何か旨いもんでも食いに行こっか?」
そう言って、ご主人様は車を駐車場からゆっくり出した。