「やっぱり凛子だ」 声をかけてきた人物がゆっくり近づいて来る。 相変わらずキツイ香水とタバコの匂いがする。 プリン状態の汚い髪。 派手なスーツ。 隣には派手なシャツを着たチンピラ風の男。 ご主人様といる時に会いたくなかった。 「凛子?知り合い?」 ご主人様が不思議そうに声をかけてくる。 知らない……こんな人、知り合いじゃない。 私は迫って来る人物を見ながら首を左右に振った。 「どうした凛子?母親の顔も忘れたのか?」 アンタは私を捨てたんだ。 だから私には母親はいない。