しばらくして、店員さんがご主人様を連れて戻ってきた。
「凛子?出ておいで?」
「でも……」
恥ずかしいし、笑われたら……。
「いいから」
「笑わないで下さいね」
渋々、カーテンを開けた。
恥ずかしくて顔が上げれない。
「よくお似合いですよ」
と、店員さん。
そりゃー店員さんは商売だから買わそうと思って、似合わなくてもそう言うよ。
「凛子、よく似合うよ。こっちに出て、鏡に映る姿を見てごらん」
私は汚いスニーカーを履いて、試着室を出た。
試着室の外から試着室の鏡に自分の姿を映して顔を上げる。
「なっ?よく似合うだろ?」
「そ、そうかなぁ……。今までワンピースなんて着たことないから……」
「だったら冒険してみるのもいいと思うよ」
ご主人様の言葉に、店員さんも笑顔で頷く。
冒険してみようかな……。



