花柄のレースを使ったフワフワしたワンピース。
ワンピースが可愛いからじゃなく、それはただ恥ずかしくて、ご主人様から逃れるだけための理由。
なのに目の前にあるワンピースを見て本気で可愛いと思ってしまった。
いつもジーンズばかりで、オシャレには疎くて、ワンピースなんて1枚も持ってない。
だからこんな可愛いワンピースなんて……。
「試着してみたら?」
「えっ?」
振り返るとご主人様が立っていた。
「気に入ったんなら試着してみたら?」
「似合わないからいいです……」
「そんなことないよ。似合うか似合わないか着てみないとわかんないだろ?」
ご主人様はそう言って、傍にいた店員さんを呼んだ。
ご主人様が店員さんに何か言って、店員さんは笑顔で答えると、マネキンからワンピースを脱がした。
「こちらへどうぞ?」
そう言った店員さんの手にはワンピース。
戸惑う私にご主人様はニッコリ微笑んだ。
店員さんの後ろに付いて試着へ行った。
「どうぞ?」
試着室のカーテンを開けてくれて、私は靴を脱いで試着室に入る。
店員さんからワンピースを渡され、試着室のカーテンを閉められた。



