鞄から携帯を出して開いて見るけど、ご主人様からメールも着信もない。


まだ、彼女と一緒にいるのかな……。


携帯をパタンと閉じた。



「誰からの連絡を待ってんだ?」


「えっ?」



顔を上げて先生を見ると、信号待ちで車は止まってて、先生が私の方を見て笑ってた。



「誰でもない……」


「ふーん。本当は、ご主人様からのメールか電話を待ってんじゃないのか?」


「えっ?」


「図星だな」



先生はそう言って笑うと、信号が青に変わり、前を向いて車を発進させた。