「先生!せんせー!ゾウがいるよ!」
動物園の入口から入り、最初にいるのはゾウ。
私は先生にそう言いながらゾウのいる檻の前に走って行った。
後から来た先生が私の隣に並ぶ。
「佐々木、子供みてぇだな」
クスクス笑う先生。
「てかさぁ、お前が俺のこと先生って大きな声で叫ぶから、周りからジロジロ見られちまっただろ?」
あっ……そっか……。
いくら元教師と元教え子とは言え、周りの人はそんなこと知るはずもなく……。
私が“先生”と呼べば、周りは教師と生徒が内緒で付き合っててデートしてるって思われてもおかしくないんだ……。
「ゴメンなさい……」
「いや、別にいいけどな。俺と佐々木はもう教師と生徒の関係じゃねぇし」
「うん……。でも、これからは気をつけるね」
「あぁ」



