チェーンロックと鍵を開ける音がして玄関が開いた。
「佐々木……」
先生は驚いた顔で私を見る。
3月だというのに、Tシャツにトランクスの恰好で、しかも髪は寝癖がついてる。
「寝てた?」
「あ、うん……」
「ゴメンね……」
「いや、いいけど……どうした?」
先生は手で髪をかき上げながらそう言った。
「先生に会いたくなったから来ただけ。でも迷惑なら帰るね……」
私はニッコリと笑顔を作った。
嘘……。
ホントはね、行くとこないから来たの。
「迷惑なんて思ってねぇよ。上がるか?」
「いいの?」
「あぁ。どうぞ?」
「お邪魔します」
玄関のドアノブを持っていた先生の脇をすり抜けて中に入った。



