「でも……」
彼女はそう呟いた。
「凛子……」
「私、友達のとこに行って来ますね」
ご主人様が何か言おうとしたのを遮ってそう言った。
「ごゆっくり」
そして彼女に笑顔でそう言った。
私は、ご主人様と彼女の脇を通って、エレベーターに向かった。
エレベーターに乗って、1階に下りた。
外に出て、空を見上げた。
雲ひとつない青空が広がっている。
私の気持ちとは正反対。
どうしてあんなこと言っちゃったんだろうな……。
彼女の気持ちはわかってるはずなのに……わかってるから……だから……。
でも、少し後悔している自分がいて……。
空を見上げる私の目に涙が溜まっていった。



