「楓……あっ……」 顔を上げた彼女は、ご主人様の名前を笑顔で呼んだけど、私を見て彼女の顔から笑顔が消えた。 初めて、ご主人様の部屋で見た彼女とは全く違う。 何か大人しい感じで、清楚なお嬢様のよう。 彼女が私たちの前に来た。 「何の用だ?悪いけど、これから出かけるんだ……」 「メイドさんと?」 彼女がこちらをチラッと見た。 「あぁ」 「楓と話がしたかったんだけど……ゴメンね」 彼女が悲しそうな笑顔を見せた。 彼女のことは好きじゃない。 だけど……だけどね……。