「車、向こうに止めてあるから……とりあえず行こ?」
私は何も言わず“コクン”と頷いた。
先生がボストンバッグを肩に掛け、キャリーバッグを引っ張って行く。
私は先生の後を付いて行った。
小さな公園の横に路駐してある先生の車。
先生が助手席のドアを開けてくれて、私は助手席に乗り込んだ。
荷物をトランクに入れて、運転席に乗る先生。
「腹、減ってね?」
先生が優しい笑顔でそう聞いてきた。
そう言えば……朝から何も食べてなかったんだ……。
私は“コクン”と頷いた。
「どっか飯でも食いに行くか!」
先生はそう言って、車のエンジンをかけると、車をゆっくり発進させた。



