ロベルトが部屋に入って来たので、話は中断し、木崎は失礼しました…と言って部屋から出て行ってしまった。

ベッドに座り、ロベルトは溜め息を吐いた。
「お父様から聞きましたわ…貴方が私のことを好きだと、それは本当ですの?」

「違うよ…僕は、君のことを全く知らなかった」

私は目を見開いて、「何ですって!?…いくらお父様でも、嘘をついてまで…許せませんわっ」…ドアに向かおうとする私の腕を、ロベルトが掴んだ。


「離して下さい!!ロベルト様…私は、このお屋敷に生まれた以上、仕方のないことなのは分かってますわ…でも、貴方は…」

唇を噛み締め、目を伏せた…。
「ごめんなさい…お父様のせいで」

ロベルトは、何も言わずにギュッと抱きしめてくれた。

「君のお父様だけが悪いんじゃないよ…」


暖かい温もりに、私は胸が熱くなるのを感じて、静かに涙を流した。